
経理・会計職でキャリアアップを目指すなら、専門資格の取得が有効です。資格は専門知識の証明となり、転職や昇進の際に大きなアドバンテージになります。しかし数多くある資格の中から、どれを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。本記事では経理・会計職のキャリアアップに特に役立つ3つの資格と、現場で求められるスキルについて解説します。
経理・会計職のキャリアアップにおすすめの資格3選
経理・会計職のキャリアを考える上で、資格取得は重要な選択肢となります。専門性を高め、市場価値を向上させる資格として、公認会計士、税理士、日商簿記1級の3つが特に注目されています。公認会計士は監査業務の独占資格として企業の財務諸表の信頼性を保証し、税理士は税務申告や税務相談の専門家として活躍します。
また日商簿記1級は実務に直結する高度な会計知識を証明する資格です。これらの資格は難易度が高い分、取得後のキャリアの選択肢が大きく広がります。企業の経理部門でのマネジメント職や、独立開業、コンサルティング業務など、多様な道が開けるでしょう。
公認会計士
公認会計士は会計系資格の最高峰とされ、監査業務を独占的に行える国家資格です。大企業の財務諸表監査は公認会計士にしか認められておらず、企業の財務情報の信頼性を保証する重要な役割を担います。試験は短答式と論文式の2段階で構成され、合格率は例年10%前後と狭き門です。しかし取得後は監査法人での勤務はもちろん、事業会社の経理部門や財務部門でも高く評価されます。
年収も平均1,000万円を超えることが多く、経済的な面でも魅力的です。さらに監査業務で培った幅広い業界知識と会計知識を活かし、経営コンサルタントやCFOとして活躍する道も開けます。
独立開業も可能で、監査業務だけでなく財務デューデリジェンスやIPO支援など、専門性の高いサービスを提供できるのが大きな強みです。
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税理士
税理士は税務の専門家として、個人や法人の税務申告書作成、税務相談、税務調査立会いなどを行う国家資格です。税理士にしか認められていない独占業務があり、特に中小企業経営者にとって欠かせない存在となっています。試験は5科目の科目合格制で、働きながら1科目ずつ取得できるため、社会人でも挑戦しやすい資格です。ただし各科目の合格率は10~15%程度で、全科目合格までには平均5~10年かかるとされています。
税理士資格を取得すると、税理士事務所での勤務や独立開業が可能になります。また企業内でも税務部門の責任者として重宝され、M&Aや組織再編時の税務アドバイザーとしても活躍することが可能です。
年収は勤務形態により異なりますが、独立開業した場合は顧客数や専門性により大きく変動し、年収2,000万円を超えるケースも珍しくありません。
日商簿記
経理担当者には単なる数字の処理能力だけでなく、多様なスキルが求められています。まず基本となるのは正確性とスピードです。月次決算や年度決算では膨大なデータを扱うため、ミスなく効率的に処理する能力が不可欠です。次に重要なのが、コミュニケーション能力です。他部署との連携や経営層への報告では、専門用語を分かりやすく説明する力が必要となります。さらに近年ではITスキルの重要性が高まっています。
ERPシステムの操作はもちろん、ExcelやBIツールを使った分析能力も求められます。加えて法改正への対応力も欠かせません。税法や会計基準は頻繁に改正されるため、常に最新情報をキャッチアップする姿勢が重要です。
経理担当者に求められるスキルとは
現代の経理担当者には、単に数字を記録するだけでなく、その数字から企業の状況を分析して改善提案を行う能力が強く求められています。財務諸表の数値から企業の強みや弱みを読み取り、経営陣に対して具体的な改善策を提示することが重要です。例えば売上高の推移や原価率の変動から、どの事業部門に課題があるかを特定し、コスト削減や収益改善の方法を提案します。またキャッシュフロー分析により、資金繰りの改善点を見つけ出すことも大切な役割です。
これらの分析には財務指標の深い理解が必要で、ROEやROA、流動比率などの指標を使いこなす力が求められます。さらに他社との比較分析や業界動向の把握も欠かせません。
競合他社の財務データと自社のデータを比較することで、自社の立ち位置を客観的に評価し、戦略立案に貢献することが可能です。このような分析力と提案力は、経理担当者がビジネスパートナーとして経営に参画するために必須のスキルとなっています。